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【ご報告】

企画展関連イベント「美谷島邦子といせひでこ『けんちゃんのもみの木』を語る」

2021年7月31日、「いせひでこ絵本原画展~聞こえた「さよなら」の声」(2021.7.9金~10.5火)の関連イベントとして原画を展示中の絵本『けんちゃんのもみの木』の文を担当した美谷島邦子と、絵を担当したいせひでこ、それぞれの講演を聞くイベントを開催しました。 写真  美谷島邦子さんは、日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事が起きた日からこれまでの出来事をご自身の心の変化を交えて紹介。「安全に終わりはない」ことや遺族の「心の中に悲しみの居場所をつくる必要性」、まわりの人々が辛い気持ちに寄り添うことの重要性などを「サヨナラを言えなかった別れ」の経験をふまえて話してくださいました。
 そして、現在も活動をされている“8.12連絡会”や“いのちを織る会”(https://inochiwoorukai.jimdofree.com/)の活動の中で子どもたちが、以前に自信で創った絵本の一部をプロジェクターの映像にして見てもらいながら話をしたところ、内容を真剣に聞いてくれる様子を見て「絵本てすごい!」と思ったことから、『けんちゃんのもみの木』を創りたいと思ったことを教えてくださいました。 写真  いせひでこさんは、2015年から御巣鷹山に登り、美谷島さんと交流をもつなかで、一緒に登山しスケッチを重ねた2年後くらいから『けんちゃんのもみの木』を創ろうと決心したことを話し、「お墓の前でけんちゃんがどんな景色を見てきたのかと、お墓を背にしてみた。焼け焦げた土地に30年間かけて育った森が美しくて、その景色を見て“けんちゃんは、森が育つ姿をずっと見てきた”と思うと、絵本が描けると思った。」と語りました。
 そして、美谷島さんの詩集をスケッチブックに書きとり、美谷島さんの心を汲み取ろうとしたこと、いつもの創作ではしてこなかった一枚一枚描くごとに美谷島さんとやりとりを重ねたことを話してくださいました。
いせさんは、「絵本にはあるものをそのまま描くわけではない。本当のことと目には見えないものを描く作業を続けて作品ができあがる。絵本を見る人にはそれを知っていてほしい」と話しています。 写真  いせひでこさんは、絵本だけでなく原画展をして原画を見てもらうことを大切にしています。
 この度の絵本原画展では、「聞こえた『さよなら』の声~つらい幾歳月をへて、悲しい現実をありのままに受け入れたその先に見いだした未来を照らす灯りと祈り……」と題して、様々なかたちの「さようなら」を絵本原画でご覧頂いています。

 ここでは、展示のこと、イベントの内容をすべてご紹介仕切れませんが、様々な葛藤を抱えて今の時代を生きる私たちを、後ろからそっと支え、前を向かせてくれるような企画展であることを願って、当館は今年も開館しております。
森のおうち (学芸員 米山)